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2013.3.10投稿記事①

栄養療法と歯科

昨日は分子整合栄養医学講座がありました。
テーマは女性のための栄養療法という事で、貧血や甲状腺ホルモンのこと、女性ホルモンや更年期障害、骨粗鬆症のことまで盛りだくさんの内容でした。
というわけで、今日はそのことについて書くのかと思いきや…
歯科と栄養療法との関わり方について、私見を述べたいと思います。

昨日の講習会は、医科の先生も歯科の先生も参加されていましたが、聞き方のスタンスは全然違うと思いました。
医科の先生にとっては、日常臨床で実際に診断や治療を手掛けている疾患に対する栄養療法的考え方と診断・治療法を学ぶために来ており、実際そのために講義内容は組まれていました。
それに対し、僕も含めた歯科医師は、日常臨床で貧血や甲状腺機能低下症や骨粗鬆症を治療することはありません。
確かに歯周病と栄養療法とのつながりはちょっと触れてはいましたが。

オーソモレキュラー療法は、栄養療法として開発され、発展した治療法です。
治療法であるから医科の先生が学び、実践することは当然です。
何より、診断のベースに血液検査があり、血液検査を行う事が出来る人間は、日本では診断を行うことが認められている人間、すなわち医者と歯医者のみです。
歯医者は歯科疾患に関係する検査においてのみ、血液検査、すなわち採血を行うことが認められています。
採血だけなら看護師や衛生士も出来ますが、あくまで検査の必要性を認め、採血を指示する人間が必要であり、独自に採血を行うことはできません。

医科の先生方は、疾患の原因を西洋医学的観点からのみならず、栄養学的観点からとらえ、栄養状態や免疫状態の不調と疾患との関係を見定め、栄養状態を整え免疫力を高めることで疾患の改善や治癒に導くことを目的に行います。
ところが、歯科ではそもそもの発想が違います。

歯科では口腔内の疾患(むし歯や歯周病など)に対する治療としての、栄養療法はほとんど、あるいは全く意味がありません。
むしろ、栄養療法だけでむし歯や歯周病を治せる、なんていう奴がいたら、相当に痛いです。
関わってはいけません。

僕は以前にも書きましたが、歯科の疾患の殆どが不可逆的な破壊を伴う進行性の疾患であり、決して治癒、すなわち元通りに治すことはできないのです。
ですから治すのではなく、直す、すなわち病巣の除去を行い、その後に機能回復(リハビリテーション)を行うのが、一般的な歯科での治療になります。

であるから、歯科の治療では、西洋医学も代替医療も治癒を求めることはできません。

であるからこそ、歯科では機能回復後の長期安定が非常に重要になります。
すなわち、再発の防止、予防が重要という事ですね。

歯科にはそういう性質があるので、栄養療法は治療学ではなく、予防学として捉えています。
歯科疾患の再発防止、もっと進めれば、原疾患の初発すら予防する。
生涯にわたり、むし歯も、歯周病も、不正咬合さえも予防することで、歯科疾患と一生無縁のまま、健康で豊かな人生を送るお手伝いをする、というのは僕の目指すところの予防歯科です。
そして、口腔と全身は繋がっていて、肉体と精神は繋がっているのだから、予防歯科は単なる歯科疾患の予防に留まらず、総合的な健康科学と一体になるべきものなのです。

本来栄養療法は栄養学から発生し、栄養学は健康学から端を発しています。
分子整合栄養医学の創始者である、ライナス・ポーリング博士は二度のノーベル賞を受賞された偉大な先生ですが、彼は医者ではありませんでした。

分子整合医学のマインドを受け継ぎ、真に実践と社会貢献に寄与できるのは、むしろ疾患の治療に限定されがちな医科よりも、積極的に予防で推進できる歯科なのではないでしょうか。
そんなことを、講習会を聞きながら考えたのでした。









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